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5/6 (火)

飛び石だらけのゴールデンウィークは最初から最後まで散々だった。
カレンダーがどうあれ、こんな精神状態で日常にもどれる気はしない。
納車日。思ったより押して進むのはキツい。格好重視だからいいけど。
乗り出しでそのまま出発。しばらく戻る気はない。自分ゴールデンウィーク断固継続。後のことは知らぬ。ひゃっはっは。

とりあえず高速には乗らない。法規はちゃんと守る。初給油にちょっと手間取る。かっこわるい。ついでに量販店で食料飲料衣類を軽く揃えた。旅っぽさが欲しい。

都会脱出には成功。道の駅で昼食。基本普通っぽいがカレーの超大盛りとかいうのがあったので食す。大したことはなかった。もっと激しい何かが欲しい。昼食後Pを出る時立ちゴケしかける。一気に田舎道。家と畑が無ければ地平線が見えそう。

日没。誤算…泊まる場所がカップルホテルしかない。屈辱。明日ガイドブック買う。割高なインスタント麺を食したのち電話かけたくなる欲望を必死に抑えて就寝。

5/7 (水)

誰が何と言おうとコンビニは現代日本の生命線。朝から弁当。ビバ米。
ガイドブックを立ち読みしたが当たり前ながら観光地しか押さえてない。
もういいやどうでもいいや。行く当てがないのも、みじめな一人寝も宿命である。ただ一応ポケット地図は買っておいた。

ひたすら平坦な田舎道を行くのは悪くない。エンジンの振動を純粋に楽しめるし、交通量は少ないので気まぐれに加速もできる。ほとんど思考を放棄して直進を続けた。相当にボロい地元民向けの食堂で昼食。変わったものはあるかと聞いたら無いと即答。ラーメンライスを頼むと謎の付け合せがついてきた。かんぴょうの漬物らしい。十分変わってる。歯ごたえがあってうまい。しょっぱすぎるラーメンがむしろ余計だった。

夕方までに街中へ。スーパー銭湯があったのでここの仮眠室で今日は明かすことにする。駐車場でご年配のライダー2人組と軽く談笑。珍味珍景の情報をいくつか尋ねる。フルカスタムのアメリカンで多分うちのやつの3倍は金かかってる。
入浴後、併設の食堂が妙に充実してて地酒やつまみを頼み過ぎた。里いもコロッケが絶品。山ほど着信とメールが来ていて、酔ったまま着拒にしようとしたら間違ってケータイを初期化してしまった。ハハ。

5/8 (木)

昼までダラダラしたのち入浴し食事。同じ食堂でうどん食って外へ。観光地でもない見知らぬ地でダラダラするというのもなかなか快感。昨日のライダー2人組からもらった珍しいレストランの情報をもとに向かうことにする。一度給油した。

地形が変わってきた。アップダウンが生じてきて、山めいてきた。良い感じだ。積極的に峠道に飛び込んでみる。やはり2輪はワインディングが楽しい。途中、山の奥の無人の湖沼を見つけた。30分くらいボーっと過ごしながらこれを書いているが、空き缶を見つけて萎えた。一応拾っておこう。

噂のレストランに着けたのはわりと奇跡的だったと思う。
サメやらキジやら食えるとのことで有名な店らしく、結構な山奥にも関わらず広い駐車場は満員だった。珍しいものを少しずつ試してどれも美味。
明日用に弁当を買った。
夜道進行。車通りもそこそこあるので安心してたら、どうも荒くれ的な人たちが集結しつつあったようで、絡まれそうになるのを9割本気で逃げた。途中一度下り坂のカーブにツッコミそうになるなど、スペクタクル。
深夜、またもカップルホテルの世話になる。第2の日本の生命線? 否定できないかもしれないぞ、色々と。

5/9 (金)

弁当を食したのちチェックアウト。初のガス欠を経験。途方に暮れていると、通りがかりのトラックドライバーがバルブの開き方を教えてくれた。
そんな技があったとは。山道はガス消費が多く危険だと認識。直近のスタンドで給油。次から余裕のある給油を心がける。

引き続き山沿いに適当に進路を取ることにする。西に行くやら東に行くやら。予想もしないところに着きたいものだ。
昼食、久々にハンバーガーで済ませる。割高なスペシャルメニューにしたけど。タコ天バーガーか。絶対定番化しないだろうな。旅の最終目標について考える。このままどこかの田舎で美人の奥さんもらって自給自足生活とかできないかな。

そろそろ手持ちの地図の範囲から外れるのでコンビニで地図を変えた。冊子じゃなくて畳まれたかなりでかい地図しかないが、まあいいだろう。夕方に温泉地の看板があったので入ってみたらとんでもないボロ旅館だらけのゾーンに侵入。すわ不思議体験チャンスかなどとテンション上げつつチェックインしたが結局何も起きず。サービスは相当アレだったので今度ネタにしよう。

5/10(土)

朝一番でチェックアウト。給油して脱出。早朝の山道はとても気持ちいい。さすがに気分が変わってきたかもしれないが、まだもうちょっと進んでみたい。

今日は車通りが多い。高速事故の迂回車らしい。こうして逃避している間も世界は回っているが特に気に病まない方向で。久々に道の駅でフツーの唐揚げ定食。レジ打ちのお姉さんが美人だったが多分パートの主婦だよな。

道を一つずらしたら嘘のようにスムーズだった。かなり入り組んだ道、山を縫う真新しいバイパスは絶景。しかし事故ったら空高く放り出されてやがてお陀仏、と思うと尻がぞくぞくする。でも、もう少し無茶もしてみたい。
まだ帰り道のことは考える気にならない。

山の中を進み続けてるが、高速が近いこともあってそんなに危機感はない。
ガソリンスタンドの売店でいちご練乳まんじゅうを食ったら速攻で腹具合がおかしくなった。
今日も結局カップルホテルに飛び込みそのまま一泊。

5/11(日)

チェックアウトギリギリまで粘る。腹具合は復調したのでモーニングを頼んだら言ってもないのに2人前来た。なめんなよコラ。少ないし食べるけどさ。モヤモヤを払うように山道を攻める。一度給油した。

昼過ぎたあたりで人里の気配がだいぶ失せてることに気付く。幹線を外れて走っているうちに、えらい田舎まで来てしまったようだ。既にいくつ県境を越えただろう。それでも、何かから逃げられた気がしないのは何故だろう。
とりあえず腹が減った。地図を確認し人里を目指す。

夕刻、飯屋っぽい建物を見つけたら廃屋だった。砂漠の蜃気楼か。ちょっと中を覗いてみたら、壁いっぱいに落書きがされていた。手つかずのものなんてどこにもないのか。案内標識と地図は合致してる。早いところ人里に出ないと。

奇妙だ。いつのまに峠道に入っただろうか。


案内標識が見当たらない。











うん、迷った。